弁護士の資格を持つ職員に相談できる兵庫県明石市

離婚や相続、借金など、私たちの身の回りには意外と法律に関係するトラブルや問題があります。しかし、弁護士事務所は敷居が高いと感じてしまい、相談するのをためらってしまう方も多いのではないでしょうか。兵庫県明石市では、弁護士の資格を持つ市の職員が市民や市内に在勤の人を対象として相談を受け付けています。

そんな明石市の取り組みについて紹介します。

「子午線のまち」兵庫県明石市

明石市は、兵庫県の南部に位置し明石海峡に面しています。市の東部には日本の標準時の基準となる子午線が通っていて、東経135度の日本標準時子午線上には天文台がたてられています。明石市は雨が少ない温暖な気候で、晴れの日が多いのが特徴です。

明石といえば、鯛やタコなどの海産物、名物の明石焼など美味しいものがたくさんありますよね。瀬戸内海に面している明石の海岸線では、気軽に楽しめる釣りスポットとして、釣りの初心者からベテランまで、そして家族連れで賑わっています。

また、明石駅の近くには明石市のシンボルともいわれる「明石城」があります。江戸時代に当時の明石藩主である小笠原忠政によって築城されました。平城(ひらじろ)と呼ばれる天守閣を作らないお城で、城の四隅にはやぐらが建てられています。

明石城が建てられた時に、現在の明石の町の基礎となる「町割り」という都市計画を行いました。町割りを行ったのは当時、藩主小笠原忠真の客分だった宮本武蔵が指導したとされています。そして、明石市では時代の変化に対応するとともに市民のニーズに応えた町づくりを進めています。

その一環として、弁護士の資格を持つ職員を採用しています。

弁護士の資格を持つ自治体職員が生まれた理由

国民へ十分な司法サービスの提供を目的として、平成11年に司法制度改革審議会が設置され平成13年から本格的に始まったのが司法制度改革です。裁判の効率化や法曹界の人員の拡充などが必要とされ、様々な改革が行われました。

その中で、人的基盤の整備として司法試験合格者数の増加があります。そのため、弁護士の数は急増して弁護士の活躍の場は法廷だけとは限らなくなりました。最近では、自治体で働く弁護士も増えています。2018年には、東京や神奈川、兵庫などの14都県、大阪市や奈良市など一部の事務組合を含む99の市区町村で弁護士を採用しています。

弁護士になるためには、難関とされる司法試験に合格した後、1年にわたる司法修習を経て弁護士登録をする必要があります。そこから法律事務所に在籍してキャリアをスタートさせるというのが一般的なスタイルでした。しかし、弁護士の数が多くなるとともに就職先が法律事務所とは限らなくなってきています。

自治体も就職先の一つとなり、顧問弁護士としてではなく自治体の職員として採用されます。このような「公務員弁護士」という選択肢も広がりをみせています。そして、2017年現在で明石市では全国の自治体で最も多い7人の弁護士が市の職員として働いています。

弁護士職員が多い明石市

明石市は兵庫県南部に位置し、神戸市の西隣にある中核市です。JR明石駅から大阪駅まで約40分と交通アクセスも良いことからベッドタウンにもなっています。そんな明石市では、市民のニーズに応えるためには「自治体自ら知恵を使い企画立案して条例を制定していく」という、市長の考えのもと、弁護士を採用することに至りました。

弁護士は市民を裁判で事後的に救済するだけではなく、幅広く活躍することができるものです。明石市では7人の弁護士のうち、1人が常勤の次長級の正職員、6人が課長級で5年の任期付きの職員として採用されていて、任期満了後の再任用も可能となっています。

市民相談室や市長室、教育委員会などに配属され、毎週金曜日と第1・3火曜日には市民や市内に在勤している人を対象として無料の法律相談を行っている他、月に1回弁護士の職員会議が開かれています。職員会議では、法解釈が難しい事案の対応や条例を制定するにあたっての協議を行います。

また、高齢者や身体が不自由な人たちは、市役所や相談窓口まで出向くことが困難な場合があります。そういった方たちのために、市民相談室での無料相談の他にも、出張による法律相談も行っています。出張先も自宅であったり入院先の病院であったり様々ですが、電話1本で相談できるのは便利なシステムです。

実は、弁護士が職員ということは市民だけでなく市側にも大きなメリットがあります。従来は、顧問弁護士に相談するには、弁護士にアポイントメントをとり市役所内で了解を得て判をもらい、それから顧問弁護士に出向き相談するという流れでした。

そのため、顧問弁護士に法律的な相談をしても回答を得るまでに数日かかるようなケースがありました。しかし、職員に弁護士がいると5分で対応でき、業務が滞りなく進むようになったのです。弁護士を職員に採用する当初は、一般の職員から強い抵抗がありましたが、現在では市の職員も気軽に相談できるようになり、市の職員から弁護士への相談件数も大幅に増加しました。

明石市では、市民相談への対応の強化、市が関係する訴訟、市役所内部のコンプライアンス制度の整備が弁護士を職員として採用する目的です。採用にあたっては書類審査と面接で選考し、優秀な人材を確保するため、弁護士職員は同年代の一般職員と比較すると給与は高めに設定されています。

なお、弁護士会の会費は自己負担となっています。

弁護士職員の効果は?

明石市では、かつて市営住宅の家賃滞納という問題を抱えていました。行政側の対応が遅いため住民はいつまでも家賃を払わないという悪循環に陥っていたのです。しかし、弁護士の資格を持つ職員を採用してから、裁判をして明渡請求をするようになったことで市営住宅の家賃滞納がほぼなくなりました。

自治体の弁護士の職員の活躍の場は法務や総務に限られているケースが多いですが、明石市の場合は現場も多く他の職員と同じ仕事をしながらリーガルマインドを発揮しています。

トラブルを未然に防ぐ

法律事務所での弁護士の仕事は、トラブルや問題が起きてから対応することが多いものです。一方、自治体の法律相談では、トラブルを未然に防ぐことが可能です。市民の幅広い相談に乗ることは、個別の案件だけでなく政策にも携わることにも繋がります。

明石市でも市民の相談の内容は多様化し複雑化しているため、行政の中でも弁護士の活躍の場が広がっています。

参考元『法律相談無料東京
弁護士法人アディーレ法律事務所|債務整理・借金返済の無料相談なら弁護士法人アディーレ法律事務所